第42回、日象展。第40回記念展を境として会は、やや低迷の感があるが この現象は他の美術団体にお共通して言えるだろう。今回の審査に当たって、レベルアップの為には、出品者個々の努力に期待するより他にないことをわたしは痛感する。一方、工芸・造形部門でアートボックスと称する芸術の新しいジャンルの出品作品が問題となった。会として どの様に受け入れるべきか否か、その判断は難しいがこれも新たな時代現象としてポジテヴに考えてゆかねばなるまい。
時代は絶えず変化するのだ。
日象大賞、内藤則一の風景は
これまでの叙情的風景と異なり「面影」という画家の内面の表現が評価される。
日象工芸大賞・今野静子。フクロウを透すかし模様として、樹の抽象的フォルムに、メルヘン風なイメージのランプ。内閣総理大臣賞・板垣裕美。力強い木彫の作品。大胆な曲線構成で木精のイメージを強調する。
衆議院議長賞・古川照和、北国の荒々しい海を濃い紺色の色調で「北限の刻」の重いリアリティ1を眼前に置く。参議院議長賞・坂野悦子。水辺の白サギと月を描き、詩情と品格ある日本画。外務大臣賞・伊大知駿子。志賀高原の色づく樹々と空を映す水辺に、去りゆく秋の情趣を捉える。文部科学大臣賞・橋本良信。足羽川の清流と川底の小石を至近距離から眺めて描写する。
環境大臣賞・稲葉桂子。色鮮やかな花びらの一種のコラージュ作品。人魚伝説のメルヘン風なロマンを奏でる。東京都知事賞・後藤圭子。
雨に渉むヨーロッパ風景。紙という素材の効果的表現。東京都議会議長賞・深澤せつ子。褐色の色面から浮かび上がる花々。自己内部を投影する。会長賞・天笠敏明。手堅く唐獅子の伝説的モティーフに取り組む工芸作品。小品部門。グランプリ・平野博史。窓辺の果物の確かな描写力。会長賞・矢ケ部昭彦。赤レンガと猫の姿態の面白さ。船越信賞・古藤健二。飾り立てたような家壁の絵画的な構成に着目。
新人奨励賞・藤本千恵子。春光の樹々が若葉に輝く。
【会場の様子】
|