41回の日象展。40回の記念展が終わり、日象の歴史にひとまず区切りを付け、また新たな出発である。
残念ながら今回、出品点数が減少した為、全体的に見て活気がなかった。数より質だと言えども、やはり競り合うだけの数が無ければ、質の向上は望みがないのだ。
しかし、初出品者の中にレベルの高い作品が見い出されたのはせめてもの救いだった。 新会長もと新体制の課題は大きい。
日象大賞は大平正満に決定。
安曇野の暮れゆく秋の風景を詩情豊かに描く。古い建造物を覆う色づく蔦の葉、紅葉の樹、水場などの対象物の凝視と安定した構図。
工芸大賞の古家 明の抽象作品は、鳥をイメージし、曲線を活かす単純化されたフォルムのさわやかでモダーンな感覚。
中世ヨーロッパの古都を丹念に描写し、その歴史的詩情をシックな色調に滲ませる猪股京子、若い女性の坐像にデッサン力を見せる田村まさよし、十薬(ドクダミ)をリズミカルな模様と色合いで表現する染色の中村千代、曇り空を画面に大きく配置し、橋のある風景にノスタルジックな想いを感じさせる岩城
満。早春のブルージュの大気を捉える岩堀幸子の繊細さ。イタリア歌劇をモチーフとし、色彩感覚と表現力を印象づける宮川登。
すべて貝で構成し、自然美を蘇生させる金丸真美。
空舞う文楽人形に雪村を追想する小川節子の発想のユニークさ、鮮やかな色調構成で鏡に映る向日葵を描く諸星初代と共に日本画。
カサブランカの華やぎを伝える木彫の奥山冨美子、紙彩画のよる舞踏表現への意欲を示す白根澤広子。
今回、新人賞作家の土屋 勉、川地勲子、鈴木清子、中村彰良に注目。
小品部門では 神山なほ子、島崎典子、関昭子。
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